志望校選びの7つの基準 ②
志望校選びの7つの基準について、今回は、前回の補足と続きです。
志望校選びの7つの基準
前回(「志望校選びの7つの基準①」)挙げた基準は以下の7つです。
1.学力
2.校風
3.共学かそうでないか
4.家から近いかどうか
5.設備
6.部活動
7.留学
1の「学力」について、入り口の偏差値より出口の偏差値、すなわち大学進学実績に着目しましょうと前回の記事ではお伝えしました。
また、その際に一番参考になるのは、現役の国公立大学進学者数(合格者数)であるとも記載しました。
国公立大学の場合、前期日程、後期日程はありますが、両方合格する生徒はほとんどいません。
よって高校からの国公立大学の合格者数はほぼ実人数と同じと言ってよいでしょう。
いっぽう、私立大学の場合、同じ大学の複数学部を併願することができるため、一人の生徒がいくつも合格実績を稼ぐことが可能です。
大学進学だけを中学選びの基準とするならば、現役国公立大学進学率が3割を切るのであればあまり魅力を感じません。(あくまで、この章では「学力」だけを基準とする場合について言及しています)
都立高校の現役国公立大学合格率は?
ここまでは、前回の内容と同じです。前回の記事の中で、
「(高校受験で進学する)公立高校の2番手、3番手高までが、現役国公立大学の進学率は3割以上あります。」と書きましたが、これについて少しデータを示したいと思います。
「公立高校の2番手、3番手」というのがわかりにくいので、都立の進学指導重点校と進学指導特別推進校について調べました。
「東京都における進学指導重点校(しんがくしどうじゅうてんこう)とは、東京都教育委員会から指定され、進学指導の充実を図り進学実績の向上を重点においた都立高等学校である。」
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
東京都の進学指導重点校は、日比谷、戸山、西、八王子東、青山(青学じゃないです)、立川、国立(くにたち)、の7校です。都立高校は学区が全廃されていますので、都内どこに在住していても受験できます。
上記7校の国公立大学の合格者数と割合を見ていきましょう。
学校名 国公立大学合格者数 卒業生数 割合(小数点以下四捨五入) の順に並んでいます。
都立高校の国公立大学現役合格率
学校名 国公立大学合格者数 卒業生数 割合 (小数点以下四捨五入) の順
日比谷 172名 316名 56%
戸山 142名 316名 45%(修正しました。40%↗45%でした。)
西 116名 316名 37%
八王子東 112名 315名 36%
青山 95名 313名 30%(青学じゃないです)
立川 108名 308名 35%
国立 151名 317名 48%(卒業生数がわからなかったので募集人数で割りました)
日比谷高の合格実績には圧倒されますが、ほかの高校もすばらしい実績だと思います。
都立高校は5科目入試なので(英数国理社)、科目数が多い国公立大学受験と親和性が高いといえます。
また、公立高校志向のご家庭は、国公立大学志向も高い傾向があるので、上記のような結果になる面もあります。
次に進学指導特別推進校の合格実績を見ていきます。
進学指導特別推進校(しんがくしどうとくべつすいしんこう)とは、都立高等学校改革の一環として東京都教育委員会が2007年より指定した、進学指導の充実を図り進学実績の向上に重点をおく都立高等学校。進学指導重点校に次ぐものであり、主な取り組みに大差はない。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
進学指導特別推進校は小山台、駒場、新宿、町田、国分寺、国際、小松川の7校です。
では、合格者数と割合を見ていきましょう。
進学指導特別推進校の国公立大学現役合格率
学校名 国公立大学合格者数 卒業生数 割合 (小数点以下四捨五入)の順
小山台 105名 277名 38%
駒場 66名 320名 21%(卒業生数不明、募集人数からの割合)
新宿 105名 320名 33%
町田 58名 320名 18%(卒業生数不明、募集人数からの割合)
国分寺 107名 320名 33%(卒業生数不明、募集人数からの割合)
国際 21名 219名 10%
小松川 66名 320名 21%(卒業生数不明、募集人数からの割合)
卒業生数がホームページからはわからず、ちょっとデータとしては信憑性に欠けます。
申し訳ありません。
進学指導特別推進校になると、国公立大学の現役合格率が3割を切る学校が出てきますが、それでも素晴らしい実績だと思います。都立国際の人数が少ないのは海外志向が高く、特に国公立にこだわらないご家庭も多いからでしょう。
いかがでしょうか、中学入試で志望する学校の大学合格率と比べてみると、一つの目安にはなると思います。
ここまでは、前回の補足です。続いて3番目の基準「共学化そうでないか」の説明に参ります。
3.共学かそうでないか
これについては「2」の校風と同じでご家庭の考え方次第なので、わたしが口を挟むことでもありませんが、ひとことだけ、男子校はいやだ、女子校はいやだ、と言っていた生徒もがんばって入った学校なら、学校生活に文句は言いません。共学でも別学でも楽しそうに通っています。
男子校や女子校から共学化したばかりの学校は設備が整っているかどうか確認した方がよいですね。
特にトイレがちゃんとしているかどうかは大事なポイントです。
4.家から近いかどうか
こちらは「中学受験にかかるコストはどれくらい? 時間編①」で記事にしたのでよろしければ参考にしてください。アクセスは近いにこしたことはありません。それから通学経路の途中に大学受験の塾があるかどうかは見落としがちなポイントです。
5.設備
中学校、高校に入ったら何をやりたいのか子供に聞いておきましょう。特にないというお子さんも結構いるのですが、校庭がない、体育館がない、プールがないなど、都心の学校では結構あることですので、確認しておきましょう。
わたしは図書館が整っているかどうかを重視したいです。人生において大切な本との出会いはやはり小学生から高校生までの間にあると考えます。
6.部活動
中学、高校で絶対にやりたい部活動があるなら、調べておきましょう。大学受験を見据えるならあまりハードな部活はおすすめしません。
7.留学
現時点で留学する気はないとしても、留学の仕組みが整っているかどうかは確認しておきましょう。急に子供が思い立ったときに慌てるのではなく、どのような制度があるのかまでは調べておきましょう。
以上、夏休み進行で結局かなり駆け足になってしまいました。
まだまだ書きたいことがあるので、そのうち補足を加えていこうと思います。
では、残り少ない夏休みが充実したものでありますように!
【次回更新日】2021年8月27日(金)