公立中は荒れているか? ②
前回の公立中は荒れているか? ①ではデータをもとに公立中、国立中、私立中のいじめについて考察しました。
それでは通わせたい中学校の実態についてはどうやって知ればよいでしょうか。
保護者は自分の子供の学年のことしか知らない
自宅のすぐそばにある中学校なら、通学する生徒の様子もわかるので、荒れている中学校なのか落ち着いた中学校なのかはわかりますが、用もないのに中学校の周辺をうろうろしていたら通報されてしまうかもしれません。
中学校の情報はその中学校に子供を通わせている保護者から情報を得るのがひとつの方法です。
パパ友があまりいないわたしが言うのもなんですが、パパ友/ママ友はいるほうがいいです。
自分の子供を通わせているなら、その中学校の情報には詳しいはずですね。
ですが、ここにひとつ盲点があります。それは保護者はわが子の学年の情報しか知らないということです。
いや、ひょっとしたらわが子のクラスの情報しか知らないかもしれません。
「○○中は荒れている」という情報は「○○中の○年生は荒れている」という場合が大半です。
去年の代は荒れていたが、今年はウソのように落ち着いている。ということはよくあります。23区内の公立中学校が代々伝統的に荒れている。などということは耳にしたことがありません。
もしその中学校が代々伝統的に荒れているなら、それは地域の状況と比例しているといえるでしょう。
そういう状況が嫌なのであれば、そもそも引っ越しを考えたほうがよいのではないでしょうか。
学校見学でするべき3つのこと
私立中の場合は学校見学の日や学校説明会が設けられていますので、必ず参加しましょう。
学校見学と学校説明会で必ずするべきことは以下の3点です。
① トイレをみる
② 保護者が先生に質問する
③ 子供が先輩と話をする
① トイレをみる
学校見学のときは見ることができるすべての設備を見るべきです。
トイレを例として挙げたのは、トイレがきちんとしている(壊れていない、清潔だ)かどうかは、その学校が細かいところまで気を配って運営されているかということと比例しているからです。新しいからよい、古いからダメというわけではありません。
学校見学の日にトイレがちゃんと清掃されていないようでは学校の姿勢が疑われるというものです。
また、特に女の子にとって、トイレがきれいかどうかは(おそらく)重要なポイントです。
② 保護者が先生に質問する
その学校を受験するにあたって、気になることがあればなんでも結構ですので、必ず先生に質問しましょう。
質問内容は事前にわかっていることでも構いません。
先生方の返答の仕方で学校の誠意が伝わってくるでしょう。
③ 子供が先輩に質問する
在校生とお話ができるのなら、必ず子供に質問をさせましょう。目的は受験に向けてのモチベーションを高めることなので、質問内容はなんでもかまいません。気をつけてほしいのは保護者が口をはさまないことです。
学校見学の帰り道や、帰宅してから、必ず子供に感想を聞いてください。
これも感想を言わせるのが目的なので、口をはさまず黙って聞きましょう。
運動会や文化祭は非日常
学校見学の機会として、あまりお勧めしないのは運動会や文化祭です。
運動会や文化祭は、イベントであって、その中学校の日常とは異なります。
中学校のイベントに感動して、その中学校に本気でいきたいと思うようになるなど、きっかけにもなるかもしれませんが、子供を通わせる立場の保護者は、その中学校のふだんを客観的にみる必要があります。
子供が通うかもしれない中学校の様子が知りたいなら、登下校中の中学生の様子を見るのがよいでしょう。
できれば、その中学校まで通学経路を平日の通学時間に行くのが望ましいです。
特に女の子であれば通学に使う公共交通機関の安全性は(残念ながら)とても重要な問題です。
公立中の情報は誰から聞く?
受験のある中学校では見学の機会が設けられています。
しかし区域が決まっている公立の中学校は選択肢がないため(新宿区は「学校選択制度」がありますね)見学の機会は設けられていません。中学生の安全のためにも部外者が立ち入ることができる機会は少なくなっています。もし近隣の中学校で進学前の見学ができるようなら行ってみましょう。
わたしのおすすめは、塾の先生に聞くことです。
ただし、中学受験専門塾の先生に公立中の情報を聞くのはやめましょう。
中学受験塾の先生は中学生を教えていませんので公立中学校の情報には詳しくありません。また、業態を考えても公立中について肯定的な情報がいただけるとは思えません。
よって、高校受験を手掛けている塾の先生から公立中の情報を聞くのがよいでしょう。
気の利いた塾の先生なら、近隣公立中の情報は入手しているはずです。わたしも授業前後には生徒に中学校の話を聞いています。生徒たちも水を向けると自分の中学校の話を楽しそうにしてくれます。
公立中は社会の縮図
まとめますが、東京23区の公立中学校が代々荒れているなどということはありません。もし荒れているとすればその地域の治安と比例しています。
一方で、まったく問題のない公立中学校もそうそうあるわけではなく、これは社会の縮図と思えばよいでしょう。
すこし素行の悪い男子もいれば、おしゃれにしか興味がない女子もいる。小学生のときもそういう子はいましたよね、いやなら近づかなければよいだけです。向こうも気が合わなそうならあえて近寄ってはこないでしょう。
前回の記事の冒頭で「地元の公立中が荒れているから中学受験をする」という考えを、消極的な動機と言いました。そうした理由だけでの中学受験は、きっかけとしてはあってもよいですが、あまり合理的な考えには思えません。
もし小学校の同級生との関係に深刻な悩みがあるようなら、区域外の公立中学校への越境という手段もあります。(中学受験にかかるコストはどれくらい? 時間編① の末尾「公立中学校の越境入学について」をご参照ください)
中学受験をする動機は、あくまで積極的なものであるほうが、子供の気持ちも引き立てやすいと思います。
【次回更新日】2021年6月18日(金)