中学受験にかかるコストはどれくらい? 時間編②
「時間編①」では中学校の通学時間について比較しました。
今回は、中学受験の勉強にかける時間について考察してみたいと思います。
ぜいたくに時間を使うのは子供の特権
大人から見ると、子どもってほんとに贅沢に時間を使ってますよね。
試しに我が家の小学生がマイクラに費やしている時間を確認してみました。
1週間で6時間10分です。1日30分の約束なのですが、おかしいですね。追及しないのが吉です。
ゲームをしている時間が無駄かどうかはさておき、受験勉強のためにどのくらいの時間コストを費やすことになるでしょうか。中学受験と高校受験の時間コストを比較するために、お金編に続いて、まずは中学受験の5大進学塾を比較してみましょう。
進学塾の授業時間数を比較してみた
小6の1週間の時間数を比較してみましょう。条件は以下の通りとします。
• 難関校受験のためのクラス
• 4科目受講
• 日曜日の特訓授業はとりあえず除きます。
1週間の総時間が多い順に並べますね。
サピックス小学部
全クラス共通です。
• 週3日
• 平日80分×3コマ×2日=480分
⇒17:00~21:00
⇒国語160分
算数160分
理科80分
社会80分
• 土曜75分×4コマ=300分 ※土曜日は志望校別特訓ですが、必修です。
⇒14:00~19:00
⇒国語75分
算数75分
理科75分
社会75分
• 1週間の時間数は780分(13時間)
• 任意の授業前テストが授業30分前から実施されます(土曜日は授業前テストはありません)が、時間数には含んでいません。
日能研
Mクラス(難関・応用)で調べました。
• 週4日
• 平日70分×7コマ、土曜70分×4コマ、1週間の時間数は770分(12時間50分)。
⇒平日17:00~20:55、土曜14:00~19:10
⇒国語210分
算数350分
社会140分
理科140分
四谷大塚
全クラス共通です。
• 週4日
• 平日 70分×3コマ×2日=420分
⇒16:50~21:15
⇒国語140分
算数140分
理科70分
社会70分
• 日曜 60分×4コマ=240分
⇒13:30~17:45
• 土曜260分(国算のテスト各50分×2、理社のテスト各20分×2、解説120分)
(後期は理社のテストが各35分×2)
• 土曜は「週テスト」なので除きました。1週間の時間数は前期660分(11時間)、後期690分(11時間30分)です。
• 自己学習の意味合いが強い基礎マスターの時間は含んでいません。
早稲田アカデミー
Sコース(私国立中受験)で調べました。
• 週3日
• 1週間の時間数は100分×2コマ×3日=600分(10時間)です。
⇒17:00~20:30
⇒国語200分
算数200分
理科100分
社会100分
• 土曜日は土曜YT講座を実施しています。後期は志望校別の土曜特訓と選択です。
どちらも任意ですが、大半の生徒が取っているそうです。
栄光ゼミナール
前期のみ掲載します。
• 週3日
• 国算60分×3コマ×2日=360分。理社60分×4コマ×1日=240分。
⇒国算16:50~20:00、理社16:35~20:50
⇒国語180分
算数180分
理科120分
社会120分。
• 1週間の時間数は600分(10時間)
単純に1週間の時間数を比較してみました。(ついでに 1時間あたりいくらか? も出してみました)
早稲田アカデミーが意外に少ないですね。前期の土曜日を四谷大塚に頼るのは本意ではないでしょうから、来年あたり自前でやるかもしれませんね。注目です。
いかがでしょうか。受験学年の6年生は、日曜日も特訓やテストがあるので、総時間数はもっと増えるでしょう。
7日間で割ると1日1時間~2時間を塾での勉強に費やしていることになります。
わたしたち大人が、仕事の後で毎日1時間自己研鑽のために勉強をしているでしょうか。わたしはしていません。このブログを書いてるだけです。受験生たちのがんばりには本当に頭が下がります。
塾の宿題にかかる時間はどれくらい?
当然ですが、塾で勉強をしているだけで成績はあがりません。どんな塾でも宿題はでます。
「宿題は出しません、通塾するだけでいいです」という塾もあるかもしれませんが、そうした指導方針の塾にわたしは賛成できません。それでは子供の主体性も自主性も育たないからです。
宿題を終わらせるのにどれくらいの時間がかかるでしょうか。
どの塾も家庭学習の必要性はうったえていますが、どれくらいの時間がかかるか、どれくらいのボリュームなのかは言及していません(早稲田アカデミーのホームページには「学校より多くの宿題が課されるのは確かです」と書かれています)。
個人差があるのは間違いありません。わたしが教えている塾でも、早い生徒なら授業中に宿題の範囲まで終わらせてしまいます。
大体の目安としては、「塾での授業時間=家庭学習に必要な時間」だと思ってもらえればいいと思います。
そう考えると、受験勉強のために必要な時間は、6年生であれば毎日2時間~4時間と考えてよさそうです。
ただしこれはあくまで単純計算しただけの数字です。食事と睡眠のとき以外は常に勉強をしているお子さんもいます。
では、この家庭学習時間に親は付き合うべきでしょうか?
家庭学習の面倒を親は見るべきかどうか問題
まずは、「放っておいたら小学生は勉強をしない」という前提で話を進めましょう。
昭和の頃(わたしが小学生だった頃)は帰ってきたらランドセルを放り出して日が暮れるまで外で遊んでいました。「放っておいたら遊ぶ」それが子供の元々の姿です。
「放っておいたらいつの間にか勉強をするようになっていた」…都市伝説です。放っておいた別れた男がいつの間にか戻ってくるぐらい確率が低いです。
子供の元々の姿にちょっと親が方向性を加えて、「出された課題はちゃんとやる子」このあたりを目標に据えるのがよいでしょう。
親だって忙しいのです、常に子供の勉強を見ているわけにはいきません。子供の家庭学習に親がずっとつきあうことになると、時間コストは親+子で2倍になります。ここは少しでも親の時間コストを削減する作戦でいきましょう。
「ちゃんとやる子」にどうやって仕向けるかはいずれ記事にするとして、子供がちゃんとやってくれたら保護者の時間コストは子供の学習時間の半分くらいになるでしょう。ゼロにはならないと考えていいです。
高校受験にかかる時間コストは中学受験より少ない?
先に書いてしまいますが、高校受験にかかる時間コストは中学受験に比べると少ないです。もちろん個人差はあります。最難関の高校を受験する中学生は相当に勉強しています。
(このサイトは中学受験と高校受験を比較するサイトなので、高校進学後に大学への進学も考えている方々(高校卒業者の50%強)を想定して記事を書いています。)
中学受験と違って高校は公立中の生徒のほとんどが進学します。98%以上です。つまり高校受験は大半の生徒がするということになります。
中学受験
⇒しなくてもいいので、する場合は最初から保護者か子供(もしくはその両方)に受験意欲が高い。
高校受験
⇒大半がするので、学習意欲が高くなくても勉強はしないといけない。
この違いがあります。
まず、受験勉強を始める時期が異なります。中学受験が小4からが一般的なのに対して、高校受験の勉強は中3からが一般的です。(個人的には中3からはでは遅いです。中2の秋には始めたほうがいいですが、本項のテーマから逸れてしまうので、ちょっと置いておきます)
この時点で時間コストは小4から受験勉強をはじめる中学受験の3分の1です。
塾に通う総時間数はどうでしょう。
中学受験で調べた塾のうち、高校受験も指導している塾だけピックアップしてみます。
・中3
・最難関校向けのコース
・5科目(英数国理社)
で調べてみます。
高校受験塾 1週間の授業時間( )内は中学受験小6の時間数
早稲田アカデミー 週620分(600分)
サピックス中学部 週660分(780分)
栄光ゼミナール 週460分(360分)
おっと、予想と違って高校受験も通塾時間数は長いのですね。
中学受験4科目に対して高校受験5科目なので、英語ひと科目ぶん時間数は多くなるのかもしれません。
家庭学習にかかる時間は中学受験と同じくらいと考えていいでしょう。わたしの印象では小学生のほうが勉強に時間をかけていますが、根拠がないのであまり多くは語りません。
保護者の時間コストは高校受験のほうが少ない
保護者の時間コストは圧倒的に高校受験のほうが少ないです。そもそも高校受験の勉強ともなると、最難関校の問題は保護者は解けません。教えられるのは中3の夏期前までと思ってください。
もう一つの理由ですが、中学生になったら自分なりの学習方法を身につけているはずです。中1だとまだ身についていないかもしれないので、中学受験をしていない場合は「自分で勉強をする方法」を中学生になったらすぐに仕込んでおいた方がいいです。これ、後で楽したいなら絶対です。
時間コストは無駄ではない
受験勉強の時間コストについては圧倒的に中学受験のほうが高校受験よりかかります。
ただ、もちろん中学受験にかかる時間コストは無駄ではありません。無駄だと思うなら中学受験をやめて公立中に通えばいいだけです。時間コストに見合うかどうかはご家庭の考え方次第です。
中学受験をする子供としない子供では、小学生の時の総学習時間はものすごい差が生じます。これがすなわち学力に直結するわけではありませんが、あることに時間をかければ当然そのことに熟達するのは当然です。
中学受験には、かける時間に見合う魅力があるかどうか。これは各ご家庭が出すべき結論です。
この記事が参考になれば幸いです。
次の記事 > 中学受験にかかるコストはどれくらい? まとめ
【 更新予定日:2021年5月21日(金)】
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