伸びない生徒は過去問ばかり解きたがる
カコモン=過去の入試問題にはいつ頃、どのように取り組むのがよいでしょうか。
伸びない生徒に限って過去問ばかり解きたがる
受験期がちかづくと、過去問ばかり解きたがる生徒(解かせたがる保護者)があらわれます。
気持ちはわかるのですが、ここは要注意です。
受験が近づくと…
⇒ 成績が伸びない
⇒ いろんな受験校の問題を解くより自分の志望校の問題だけ解いたほうがいい
焦りから上記のような考えにいたる気持ちはわかるのですが、ここは踏みとどまってください。
長い経験から厳しいことばで書くと伸びない生徒ほど過去問ばかりやりたがるものです。
過去問はあくまで過去の入試問題です。
来年の入試問題ではありません。まったく同じ問題は出題されません。
過去問を解いて「○点とれた!」と一喜一憂しても、その点が実際の入試問題と必ずリンクするわけではありません。
受験学年前に過去問を解いても意味がない
東京大学に合格した学生の勉強法で、受験勉強を本格的に始める前に入試問題を解く、というものがあります。
・受験勉強を本格的に始めるにあたって、入試問題を解くことで、何をやればよいかわかる。
・壁の高さを知ることでどのようにして乗り越えられるか計画を立てることができる。
こういう理屈です。
ことばにするととても素晴らしい考えのように思えますが、これは東大に合格できるだけの学力をもつ生徒だけができる学習法です。
東大の合格者でなくとも、特に最上位の生徒にのみ許される学習法だと思ってください。
とりわけ分析力が未成熟な中学受験、高校受験の場合には意味がありません。
受験学年前の生徒に過去問題を解かせる塾が結構あるのですが、はっきり言ってマイナスしかありません。(うちの塾もやりたがる先生いるのですが)
理由は下記のとおりです。
・不安しか増大しない。
・そもそも解けないから分析もできない。
・分析できないから対策も立てられない。
細かく見ていきましょう。
入試問題全体がある程度解けるようになるのは、そもそも受験学年の秋が深まってからです。
入試問題を解きこなせない時期に過去問を解いても全然歯が立たず、もちろんどうやって攻略するかの計画など立てられるわけがありません。
こんなに難しい問題解けるようになるわけがないと、不安が募るばかりです。
というわけで、受験学年より前に、もっというなら夏休みより前に過去問題を解いてもほとんど意味がありません。ちょっと直球な言い回しですが、時間の無駄です。
過去問題、入試問題の分析はプロ=塾の先生に任せるべきです。
大量の入試問題を解いている塾の先生は、その学校に合格するために解くべき問題や、身につけるべき解法を熟知しています。わたしも新人のころ入試問題を20年分解くように言われました。
その先生がたがセレクトした問題を解くのが一番の近道です。
塾の先生が男子に女子校の問題を解かせたり、女子に男子校の問題を解かせたりするのも、それが合格のために活きる良問だから解かせているのです。
自分の受験校の問題でないとモチベーションがあがらない気持ちはわかりますが、塾の先生を信頼してここはお任せするべきです。
意味のある過去問への取り組みが必要
塾の先生を持ち上げましたが、残念ながら中には、過去問をただ大量に解かせるだけのメソッドしかない塾もあります。
秋以降に実力がついてきた段階で、過去問に取り組むこと自体は悪いことではありません。
なによりも、その学校の傾向になれることができるので、過去問を解くこと自体は必要です。
ただ、それだけになってしまうのは危険です。
大切なのは、
過去問を解く
⇒ 自分の弱点を知る
⇒ 対策を立てる
このプロセスが必要です。
過去問を秋以降に解くことは必要ですが、そればかりやるのでは合格できません。
「自分の志望校の問題以外を解いても意味がないので塾を休んで過去問をやらせます」そういう生徒、ご家庭をいくつも見てきました。残念ながらよい結果には結びつかない場合がほとんどです。
過去問をやるときに守ること
過去問をやるときは以下のことに気を付けてやりましょう。
過去問に取り組むときのルール
・過去問を始める前に塾の、担当教科の先生に相談する。
⇒ 教科によってやる時期、やる順番が異なります。
・ふだんの課題を優先し、それ以外の時間で過去問をやる。
・解いた後が大事! 弱点を把握して対策を講じよう!
受験まで半年をきりました。
残りの期間、安易な対策に飛びつかずにじっくり受験問題にとり組んでいきましょう。
【次回更新日】2021年9月17日(金)